スコアアップにパットの上達は不可欠!やればやるほど自信になる練習方法
「ドライバーイズショウ パットイズマネー」という言葉を知っていますか?南アフリカ出身のゴルファーで全英オープン4回優勝のボビー・ロックの名言として知られています。
意味はそのままで、「ドライバーショットは見せるもの パットはお金になるもの」という非常にリアリティのある言葉です。250y越えのビッグドライブも、数十センチのパットも同じ1打。ですが、グリーン上の1打をおろそかにしてはスコアアップできないのです。
2mの距離が大きな意味をもつ
パットの確率を考えるとき、1パットで入るかどうかの堺は2mにあるというデータがあります。2mよりも短じかければ1パットで入る、逆に2m以上になれば2パット以上になるということです。2mの距離を1パットで決める確率がちょうど50%だというのです。しかも、これはプロなどの上級者のデータなんです。
少し意外な気がしませんか?プロの試合などを見ていると、5mほどのロングパットをいとも簡単に決めている場面を見かけますが、上級者でも2mのパットは半分しか決められないのです。と、いうことは、初心者の場合はカップから2m以内にボールを近づけなければ、ほぼ1パットで決まらないという事になります。
つまり、6mほど離れたところから1パット目を打ったとき、4mほどで止まってしまえば、残り2m残しの2パット目、それを外して3パット目でようやくカップインという事になる確率が極めて高いということですね。
パットの練習で意識すること
上記の2mの距離の事を踏まえると、初心者がパットの練習で意識することは大きく2つあります。
■一つ目は2m以内、例えば1.5mのパットは確実に1パットで決めるということです。30cmくらいのパットは初心者でも、まず1パットで決まるはずです。では、1mではどうでしょう?上級者なら決められても、初心者では外すかもしれませんね。結局、この1打の積み重ねがスコアの差として出てくるわけで、上級者との違いということになるわけです。
ですから、1.5mくらいの距離をしっかり練習して、高い確率で、1パットで決められるようになればスコアが縮まる可能性が高くなりますよね。上級者でも成功率50%の2mの距離は、最初から2パット狙いでもオッケーとも言えるわけです。
■二つ目は5mや6mのロングパットの1パット目を残り2m以内につける練習ですね。これができないと、2パットどころか、3パット、4パットもありえます。ラウンド前のパター練習場では、この2点のことを意識して、練習するのがオススメです。また、普段からショットの練習と並行してパットの練習をしなければ、なかなか距離感は掴めませんよね。練習場に行った時は、パットの練習も積極的に取り入れましょう。また、自宅でもパターマットなどを購入して、毎日寝る前に練習していると数ヵ月後に大きな違いが出てきます。
しかし、距離感を掴むのは、初心者にとって大きな課題ですよね。最初のうちはノー感パットもやむなしです。何度も何度も、繰り返し練習することで、自然と距離感は身についてくるものです。効果的な練習方法を紹介します。自分の立っているところから2m先に1つティーを刺し、さらに2m先に別のティーを刺し、さらにもう2m先にまたティーを刺します。2m、4m、6mに目印を作ったわけですが、3球用意して最初に4mに向けて打ってみてください。
たぶん、うまく打てない方がほとんどだと思います。でも、気にせずに、次は6mを打ち、最後に2mを打ってみてください。気をつけることは、1回でうまく打てないからといって、もう1回同じ距離の目印に打たないことです。なぜなら、体はさっきのタッチを覚えていて、さっきよりも強弱をアジャストしてくるからです。
この練習を繰り返しすることで、自然と距離感が身についてくるのを待つしかないと思います。できるようになれば、3m、6m、9mでもいいです。自身の練習したい距離感を身につけていきましょう。よくカップまで歩いてみて歩幅で歩測し、距離感をつかむ方もいますが、実際に取り入れてみて、その方法が合うようなら、それもアリですね。歩測することで、グリーンの上り、下りの感覚を足で感じ取れるメリットもありますし、歩いたついでに、ピンの向こう側からラインを見る癖もつきます。やってみて損はないと思いますね。
「パットに型なし」だからこそ難しい
パットに型なしと言われるほどに、パットをする時の構えやフォームに自由度が高いのは皆さんご存知の通りですよね。プロゴルファーでもそのスタイルはまちまちで、構えに入るときのルーティーンなども合わせれば、全員違うといっても過言ではないほどに、目に見えて違いが分かりますよね。もちろん基本はあります。左目の真下あたりにボールをセットし、肩の水平ラインを変えないようにして、左右の肩、左右の肘、そしてグリップの合計5箇所で五角形を崩さないように打つということです。
しかし、これができれば、どんなパットでも成功するわけではありません。これは、あくまで基本の打ち方であって、距離感や上り下りの加減などは、全く別の話です。そこを理解しておく必要がありますよね。つまり、狙った方向にボールを転がすことと、カップに寄せるための加減や距離感は別に練習をしなければならないのです。世の中には様々なパターの原則論があって、微妙に違うので初心者のうちは迷うこともあると思います。
しかし考えてみると、最終的にカップに入りさえすればいいわけです。形にばかりこだわって、打つまでのプロセスばかりを気にする方は、カップに入っても、今のはまぐれだったと思い、自分の打ちたかった球筋を追い求める傾向があります。一方、まぐれだろうと、入った事を素直に喜ぶ方は状況に応じて柔軟なパットができるようになります。例えば、パンチ系の打ち方はNGで、同じリズムでストロークできるように練習しましょうなどと紹介されている記事もあります。
しかし、こういった事も状況しだいです。
10m近いロングパットで上りラインの場合、むしろパンチ系の打ち方の方が強くしっかり転がるボールを打てたりする場合もあります。また、左右対称の振り子のようになどという表現もよく使われますが、テークバックを小さくして、フォロースルーをしっかり取る横峯さくらプロのような打ち方は、左右対称の振り幅ではありませんよね。
逆に短い下りのパットなどはインパクトの時にヘッドを減速させながら打つ方が入りやすいということもあると思います。結局のところ、これらのことは全て距離感と打球の強さによるのです。実際のコースでは、上り下りに加え、スライスラインなのかフックラインなのか、2パットするにしても、ショートさせるのか、オーバーさせるのかなど、考えることはたくさんあります。上級者を見ていると、状況に応じたパットを打っているので、スコアが崩れないということも言えると思います。
これだけ多くのパターンがあるのに、打ち方が一つだけと考えるのはおかしいですよね。あくまで基本と応用があり、人によって合う、合わないがあるのです。だからこそ、パットに型なしと言われ、難しいのです。
初心者の場合は、どんな状況でもオールマイティーに対応できるストローク型の打ち方で、さらにフォローを大きく出していく打ち方がオススメです。分かりやすく言えば、打ったあとに、カップの方向をパターで指差すようなフォロースルーです。安定しやすく、距離感を出しやすい打ち方です。気をつけるポイントは打ったあとに頭を上げずに我慢することです。打ったあとの球は目だけで追うようにしましょう。
それと、ボールが左に出て行く癖がある方はいませんか?パターを真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出していくという動きは自身で確認するポイントですが、もう一点、知らず知らずにオープンに構えていることがあるのです。右の腰というか右のお尻をキュッと後ろに引いて構えてみてください。これで真っ直ぐ転がれば、無意識に右向きに構えていたということです。
上りのパットを残すのが鉄則ですが、そこは好き好き
上りのパットを残したほうが攻めやすいということを聞いたことがあると思います。確かに大勢の方がそう言われているので、原則であることは間違いないのでしょうが、上りを残しても入らない時は入りません。下りでも入るときは入ります。いい加減なようですが、パットなんてそんなものです。
世の中にある多くの原則論はあくまで原則であり、どんなスポーツでもそれで全てがうまくいくわけではないのです。なぜ上りのパットが有利かといえば、上りなので強いしっかりした球が打てるので、カップに入りやすいというのが大きな理由です。確かに下りのパットはコツっと当てるだけで球足がゆるいため、その分グリーンの傾斜の影響を受けやすかったりして、短いパットでも下りはよく外しますよね。
確かに、できるだけ上りのパットが打てるような状況に持っていくというのは、一理ありますよね。と、いうことは、上りのパットであれば、ショートすれば2打目も上りが打てますし、下りパットであれば、逆にオーバーすれば、切り返しパットは上りになりますね。これも、ひとつの戦略として覚えておくといいと思います。ですが、そこは個人の好き好きです。下りのパットの方が得意な方は、むしろ下りを残すという選択もあっていいと思います。
ところで、5、6mのパットを打つ時、ショートする場合が圧倒的に多いと思いませんか?これには理由があるそうです。ゴルフのメンタルトレーナーのジョセフ・ペアレント博士は自身の実験から、カップの位置とボールの距離の空間だけを切り取って見てしまうことで、実際の距離よりも短く感じる事が多いと、ショートする理由を導いています。逆に、カップを超えたグリーンの奥までをひとつの空間と認識することで、ショートを防ぐことができるというのです。
実験といえば、アメリカのパンス・エルキンスさんも興味深い実験をしています。精巧なパットマシーンを使用した結果、わざとパターの芯を1センチ外して打つと、5mのパットの場合、約40センチボールがショートするそうです。以上のことから、パットを成功させるには、原則的に上りのパットを残すこと、カップの奥まで視界に捕らえること、芯で打つことの3つが重要であると分かりますね。
パットは反復練習しかない
最初に述べたように「パットイズマネー」と言われるほど、パットは重要であり、スコアメイクをするのに欠かせないものですが、距離感など、グリーンの攻略は非常に奥が深く経験を積まなければ、一朝一夕には上達は難しいです。何度も何度も打って、その打感、距離感、強さ、グリップ、フォローの出し方など、あらゆる感覚を身につけていく必要があるのです。
まさにパットはゴルファーにとって永遠のテーマともいえるでしょうね。だからこそ、ゴルフは面白いのかもしれません。ただ、初心者の方がショットの練習ばかりに気を取られ、ともすれば、飛距離ばかりを話題にすることが多い中、パターの練習は軽視されがちです。しかし、パターこそしっかりと時間をかけて磨かなければいけないということが分かっていただけたと思います。
最近は、パターのヘッド形状も様々なものがあり、シャフトの長さやヘッドの重さ、ネックのスタイルなど、多くの種類が販売されています。ゴルフショップで試し打ちして、ビビッとくるものを選んでみるのがいいと思います。ゴルファーとパターは相性が一番です。値段やブランドではなく、必ず試打をしてから手になじむかどうかをチェックすることをオススメします。ゴルフは最終的にカップに入れないとホールアウトできません。最後に持つクラブ、そしてラウンド中に最も多く使うのはパターです。このことをしっかり認識しておきましょう。