アプローチでスコアはまとまる!場面に応じたアプローチ
1打目、2打目と調子よくきて、残り50yぐらいからミス連発。終わってみればダブルボギーなんて方。結構多いんじゃないでしょうか。グリーン周りのアプローチがどうも苦手でいつもスコアを崩してしまうという方。アプローチが上達できるように徹底解明していきましょう。
アプローチは「打つ」より「運ぶ」感覚が大切
鼻をかんだあとの丸めたティッシュを少し離れたところにあるゴミ箱に投げてみた経験は誰にでもあるでしょう。その時に、ゴミ箱に入らなくても、大体近くにはいくものです。
全く距離感が合わないとか、無関係な方向に飛んでいくってことはないですよね。さらに、投げるとき、手をどこまで振り上げて、どういう軌道で手を動かして、どこでティッシュをリリースするかなんて考える人はいません。
それは無意識のうちに、一連の動作として行われる動きです。アプローチはまさに、ティッシュをゴミ箱に入れるときと同じなんです。8時から4時のスイングとか、フェースを開いてとか、確かに色々とポイントはあります。
しかし、その前に、「打つ」のではなく「運ぶ」感覚を肌で感じることが大切なんです。ゴルフボールを手に持ち、下からふわっと投げて20y地点に落とす、次は30y地点に落とすというのはそんなに難しいことではなく、初めてやる方でも意外とできるものです。
ところが、ウェッジを持った時だけ、目標の地点をはるかに超えたり、全く届かなかったり、トップやダフリ、チョロ、シャンクなどミスのオンパレード…もう、コースでこれをやっちゃうとショックですよね。
「打って」目標地点に「飛ばす」と思うからそういうミスが出てしまうのです。アプローチはさきほどのティッシュの例えのように、本来は感覚的なもので、シンプルに考えればそれほど難しくないのです。
むしろ、アプローチの精度を高めていくことで、いわゆる「寄せワン」が狙えたり、次のパットを上りのパットを残す位置につけたりできるようになり、スコアメイクには大きく有利になります。
ドライバーやアイアンのショットがミスしても、残り100yからが手堅くまとまれば100切りも見えてきます。ゴルフはドライバーでの豪快なショットに華があるように思われがちですし、飛距離にばかり気を取られがちですが、実はカップに近づいていけばいくほど、一打のもつ意味が重要になってくるのです。
残り30yからグリーンをとらえられないとなればメンタル面でもダメージが大きく、次のホールまで引きずってしまう方も多く、結果としてスコアを崩してしまうのです。分かりやすく言えば、アプローチは「ミスが取り返せない」「ごまかしがきかない」ということになるんです。
そもそも練習していますか?
初心者の方の練習をみていると、アプローチの練習はわずか数球で終わって、ドライバーやロングアイアンばかり振り込んでいるという姿をみかけます。これでは、なかなかスコアアップしないのもうなずけますよね。
あるレッスンプロに話を聞くと、90台で回るゴルファーで、100yの距離をグリーンに乗せる確率はせいぜい60%。150yになると、10~15%ほどだそうです。100切りが目標のゴルファーともなれば、50yを乗せることでも、半分以上ミスしてしまうそうです。
そう考えたらアプローチを練習しない手はないですよね。極端にいえば、アプローチだけ練習して帰る日があってもいいくらい、練習しないと身につきません。
話がそれますが、パターも実は同じです。得てして初心者の方ほど短い距離がマスターできていないのに、飛距離の出るクラブばかりを練習している傾向があります。まずはここから見直さなければいけませんね。前述したティッシュをゴミ箱に投げ入れる感覚を身につけられるように、ボールを目標地点まで運ぶことを意識しましょう。
練習場に行くと、30yや50yのところに目標物があって、立て札やカゴなどがあると思います。例えば、50yばかり集中してやるのもいいですが、それだとだんだん飽きてきますよね。そんな方は、距離はバラバラで今回はここ、次はあそこというように1球ごとに目標物を変えてみるのがオススメです。
また、あらかじめ10球ほど足元におき、10球のうち何球目標の地点に打てるかを自分の中で決めて打ってみるのもいいかもしれません。友人と行った時なんかには、アプローチ勝負をしてみるのも面白いですよ。10球打ってどちらがより多く目標物に近づけたかを競いあってみたりしていると、アプローチは意外と早く上達していきます。
トップやシャンクが出てしまう
当たりが悪くてトップやシャンクに悩まされて、もう、どうにもお手上げという経験をお持ちの方もいると思います。もちろん、トップやシャンクには様々な原因があるので一概には言えませんが、一つの考え方として、下からすくうスイングをするとミスが出やすいです。
テレビでよく見るプロのアプローチのように、フワッと浮いたボールがピンそばでピタッと止まるのは見ていて憧れますよね。でも、そのショットを初心者がやると、ミスが出る確率がぐんとあがります。
どうしてもボールを高くあげようとするために、フェースを開きすぎて、刃の部分、リーディングエッジでボールに当ててしまうと、コーンという音がしてピッチャーライナーのような打球になりますよね。
または、高くあげようとしてすくうスイングをするあまり、手前からヘッドが入りすぎてザックリと地面にささってしまう、最悪の場合、空振りというのもありますよね。そういう方は少しフェースをかぶせて打ってみましょう。
56度や58度くらいのウェッジなら普通に打てばボールがあがるように出来ています。わざわざ上げなくても、勝手にあがります。クラブのヘッドの重みをグリップで感じながら、ストンとその場にヘッドを落とすようなイメージで打てば、軽く打てると思います。コツはゆっくりやることです。
打ち急ぐとミスになりやすく、力が入ってしまいますので、ゆっくり振り上げて、ゆっくり下ろすことを意識しましょう。このコツっと当てるだけのアプローチができるようになれば、同じ打ち方で、9Iや7Iでもやってみてください。コースでの実践では意外と足場が悪くて極端な左足下がりの場所から打つ場面もあります。
そうした時にはSWよりショートアイアンの方が打ちやすかったりします。ここで大切なのは「上げるのではなく、転がす」ということです。ゴルフの場合、圧倒的に転がす方がリスクが低く安全です。
もちろん、転がすといってもパターのようなゴロゴロ転がる球ではなく、低い球筋で飛んでいく球のことです。フワリとあがるイメージしか持っていない方は、自分の頭よりも高くあがらない球筋をイメージして練習してみるのもいいかもしれません。
例えば、ピンまで30yのアプローチなら「トーン、コロコロコロ」のイメージで、10y飛ばして20y転がるぐらいの感じがつかめたらかなりの確率でワンパット圏内にボールを運べると思います。これができるようになれば、あとは応用編ですよね。
ボールが落ちた先のグリーンの傾斜が受けているのかどうかにもよりますが、そうとうグリーン周りは楽になること間違いなしです。今までのように、グリーン周辺でモタモタ往復ビンタってことはなくなりますので、プレーファーストの意味からもアプローチを磨くのは大切ですよね。
ここで言う、低くボールを出していく感覚がつかめたら、状況によってクラブを使い分けることもできるようになってきます。初心者の方は短い距離を打つときはなんでもかんでもSWだけで打とうとする傾向があります。
20y~30yはSW、50~70yはAW、それ以上だとPWみたいな距離によるクラブ選択のセオリーのようなものを認識されているからだと思いますが、場合によって30yをPWで打つ方が楽な場面もあるし、奥に広いグリーンではショートアイアンどころか、ミドルアイアン、場合によってはユーティリティークラブでアプローチをする場面もあるのです。
万能のランニングアプローチをマスターしよう
アプローチショットにはいくつかの種類があります。高くボールをあげ、真上から落とすような「ロブショット」、同じくボールが高くあがったあと、わずかに転がる「ピッチショット」キャリーによる距離とランの距離がほぼ同じ、例えば15y飛んで15y転がるような「ピッチエンドラン」、そして最後に、キャリーよりランの方が多く転がる「ランニングアプローチ」です。これが、イメージでいうところの、「トーン、コロコロコロ」です。
このショットは、基本が転がしですので、転がせない場所では使えません。例えばバンカー越えであるとか、極端な砲台グリーンには向かないですが、グリーン周辺のエッジやカラー、花道からなら万能で使えます。
このランニングアプローチには利点がいくつかあります。まず、キャリーで飛ばす距離が少なく、転がりによってカップに近づけるので、グリーン上でのボールの転がり方を見ることができ、次のパットの参考にできます。
これは意外と大きなメリットです。さらに、遠くまでキャリーで飛ばす必要がないので、力むこともなく、ダフリやトップも防ぎやすい打ち方です。ゴルフのショットは何でもそうですが、いかに安心して打てる環境を自分で考えるかというのが戦略なのです。
ティーショットでもちょうど220yあたりにバンカーがあるなら、ドライバーを持たなければいいのです。会心のあたりで、ボールはバンカーとなれば気分的にも痛いですからね。そういう時は6Iなどで160yほど打てばどう考えてもバンカーに入ることはないですよね。
アプローチも同じことが言えるのです。15yほど打ってあとは転がっていってくれるなら楽に振ればいいですし、転がりを出すために、最初から少しロフトが立っているPWなどを使えば済む話です。
なんでもかんでもグリーン周辺でSWというわけではないというのはこういうところなんです。また、こうしたクラブ選択や一手先を読んだボールの運び方などを考えることで、レベルは飛躍的に伸びます。何も考えずに漠然と打つだけでは結果オーライショットはあっても、なかなか継続しないので安定的にスコアをまとめるのは難しくなります。
やっぱりゴルフは考えないといけませんし、そこが醍醐味でもあるのです。打ち方も非常にシンプルです。最初から左に体重を起き、ハンドファーストに構えて、カシュっと音がするイメージでヘッドをボールに落とすだけです。
コックを入れたり、体重移動をする必要はないです。テイクバックの時に手でクラブを振り上げようとせず、肩の根元からクラブの先までを一本のアームだと思ってロボットになったつもりで、打ってみればうまくいくと思います。変に手首を返したり、ボールの下にヘッドを潜り込ませようなどどしないことです。
構えた位置にヘッドが帰ってくれば勝手にボールは飛んでいってくれますし、15yほど飛ばすだけなんですから軽い気持ちでいいんです。是非、この打ち方を練習場で徹底して身につけてください。
そうすれば次のラウンドでグリーン周りは格段に楽になりますし、120ぐらいのスコアの方ならすぐに10打ほど縮まると思います。これから道具を揃えるという方は、少しヘッドが重いウェッジの方が使いやすいかもしれません。
色々と試打をして自分にあったものを選ぶと良いでしょう。ゴルフボールの重さは約45gです。これはMサイズの卵の重さです。それを15yほど先に運ぶのに力なんていりませんよね。
本当に卵なら割れてしまいます。ボールを卵だと思って割れないように優しく打ってみてください。あなたのアプローチはきっとうまくいくはずです。