パターと重さのお話
ゴルフクラブは進化の速度が速く、特にドライバーとパターの進化速度の速さは目を見張るものがあります。特に「速く振る」必要のないパターは形状の自由度とあいまって以前は想像もできなかったようなパターが次々と登場しています。
その特異な形に注目が集まりがちですが、実は重さもずいぶんと変化してきています。
今回はパターの重さのお話です。
パターは重くなっている
ゴルフクラブの進化は基本的には軽量化の道を進んでいます。もちろん競技に出る方やプロのように「趣味」の域を越えるアスリートの場合は身体を鍛えて競技力をあげるので、必ずしも軽いものが良いわけではありませんが、一般のアマチュアが余暇の楽しみとしてプレーする場合は軽いクラブのほうが速く振ることができ、疲労も怪我のリスクも少なくなります。古いもので公式なデーターが見つかりませんでしたので筆者の手元にあるPINGのアンサー2を計測した数値ですが総重量は458gでした。それに対してテーラーメイドのスパイダーはメーカー公表値で537gと相当に重くなっています。
形状が違うので重さが違うのでは?という疑問もあるでしょうが、たとえばPINGのHEPPLERシリーズのアンサー2はメーカー公表値でヘッドだけで350gあります。シャフトとグリップを合わせれば500g近い重さになっていきます。
もちろんブランドによって差はありますが、パターは全体的に重くなる方向になっているのは間違いないでしょう。
パターの重さが与えるストロークへの影響
パターの重さは当然ストロークに影響を及ぼします。これは総重量だけではなく「スイングバランス(単にバランスとだけ呼ぶこともあります)」が重要な要素となります。
総重量が全体の重さだということはおわかりになると思いますが、では「スイングバランス」とはいったい何でしょうか?
これは簡単にいえば「持った時(振った時)にどれくらい重さを感じるかの値」です。一応計測方法は決まりがありますが、要は先端がどれくらい重いかということです。
野球をやったことがある方なら想像がつくかと思いますが、野球のバットを普通にグリップを持って振った時と逆に太い方を持って振った時では振った時にどちらが軽く感じるかというと、太い方つまり重いほうを持って振った時です。
パターの場合はヘッドを重く感じる度合をバランスとして表します。理屈の上ではうんと軽いものを振るよりも、ある程度の重さをもったもののほうがストロークは安定します。またバランスがあまり軽いものよりもある程度重さがあるほうが振り子の先が重いわけですから安定します。
ただし、あまり重いと今度は始動するのが大変になってしまい、無理に力を入れて動かさなくてはならなくなるので、逆にストロークは不安定になってしまいますから、この辺は自分にどれくらいの重さがあるのかを見極めなくてはなりません。
さて、ではストロークを安定させるためにパターは昔よりも重くなっているのかというと必ずしもそれだけが目的では無いといえます。
パターの重さとボールの転がり
パターが重いほうと軽いほう、どちらの方がボールが転がるのかといえば物理の教科書的に考えれば当然のことながら重いほうです。
しかし、不思議なのはPGAのツアープロが重いパターを使っていることです。
普段我々アマチュアがプレーするグリーンはだいたい9フィートから10フィートくらいの速さで、リゾートコース的なところですと8フィートくらいが多いようです。
いっぽうマスターズが開催されるオーダスタナショナルですと14フィートくらいと言われています。
数字だとイメージしにくいかもしれませんが、下りだと軽く触っただけで10m以上転がってしまうようなこともあるような速さです。
そんなグリーンでプレーするプロが、なぜわざわざ重いパターを使うのでしょう?
これは実際に軽いパター、重いパターを打ち比べていただくと良くわかりますが、重いパターのほうが圧倒的に転がりません。
軽いパターだと、どうしても手でパチンと打ってしまったりストロークスピードが速くなったりしてしまうので軽いほうが転がってしまいます。
まとめ
日本でも人気のパターは、ほとんどアメリカのメーカーのものです。ピン、オデッセイ、テーラーメイド、スコッティキャメロンなどですね。
しかし日本の比較的遅いグリーンでプレーする場合はパターが少し重すぎることもあります。必ずしも重いほうが良いわけではないのです。
パターを何本か持つ方も多いでしょうが、重量に着目して2本目、3本目を選ぶのも良いかもしれませんね。