飛距離について考える
2020年、R&AとUSGAが年々伸び続ける飛距離についての懸念を表明しました。普段ドライバーの飛距離に悩む我々アマチュアにとっては縁の無い話に思えるかもしれませんが、そうでもありません。
15年ほど前ですと、男性で120ヤードはだいたい9番アイアンの距離でした。
比較的飛ぶシングルさんでも、それくらいの番手を持っていたと記憶しています。
しかし、今はアマチュアでも120ヤードをウエッジで、しかもコントロールショットで
打つ人がいくらでもいます。
飛ぶことは良い事ですが、長期的に見るとゴルフ界全体にとっては良い事ばかりではないようです。
ゴルフが変わる
2020年のメキシコオープンはパトリック・リードの優勝で幕を閉じました。
この大会、松山選手が好位置で戦ったり、ジョン・ラームがホールインワン含めた61のコースレコードを出したりと話題にはことかきませんでしたが、なんといっても選手の飛距離が目を引きました。平地と違い標高が高いので10%~15%程度ボールが飛ぶコースではありますが、ローリー・マキロイやダスティン・ジョンソンといった飛ばし屋の選手たちは、ドライバーでなんと370ヤードを飛ばしています。
ゴルフで飛ぶ、ということは大変な魅力です。プロでもロングパットをバンバン入れてスコアを作る選手よりも、圧倒的な飛距離を誇る選手のほうが人気があります。
アマチュアも少しでも遠くに飛ばしたい、誰しもが思っているでしょう。
コンペでも会心の一発でドラコンを取れれば、ある意味優勝より自慢できるかもしれません。
少しでも飛ばそうと練習を積んだりクラブやボールを買い替えるのは、それ自体ゴルフの楽しみのひとつです。
しかし、370ヤードがワンオンしてしまうようになると、コース攻略というゴルフの楽しみはある意味失われていくのではないかと思います。R&AやUSGAの懸念もその部分のようです。
確かにメキシコは高地ですが、クラブがさらに進歩してボールも進歩していくと平地でも370ヤード、それは無理でも350ヤードくらい打ってくる選手は出てくるでしょう。
コース設計したときに、そこまで飛距離が出るようになることは想定していなかったでしょうし、コースを改修するにも限度がありますね。
コース設計家が、ティーショットをここに打つとセカンドが狙いやすいが、このトラップに引っかかる危険もある、といったように考えたルートのはるか先にボールが飛んで行ってしまうわけですから、そうなるとトーナメントなどでは、とんでもない位置にピンを切るとか、ありえないくらいグリーンを速くするといった対処を取らざるをえなくなってきます。
アマチュアへの影響は
R&AやUSGAの懸念はアマチュアゴルファーに対しても示されています。
コースが改修を続けたり距離を伸ばすためにはお金がかかるわけで、それは結局普段プレーするアマチュアのプレイフィーに跳ね返ってきます。
また、通常の白マークもかなり長い距離から打つことになるでしょう。アマチュアが必要以上に長い距離でプレーさせられている、というのも懸念材料のひとつとして報告書には記載されていたようです。
確かに飛ぶのは良いことだが
普段我々アマチュアが使うクラブも、一昔前に比べて飛躍的に飛ぶようになっています。アマチュアで240、250といった距離を打つ人は普通にいますが、一昔前のトーナメントプロの飛距離です。
昔作られたゴルフ場の多くは青ティーからキャリーで220ヤード以上出るとクロスバンカーを超えるようになっているところが多いので、白から回るアマチュアが240も打ったらクロスバンカーはなんの意味も無くなります。
それはそれでちょっとゴルフがつまらなくなると思うのは筆者だけでしょうか。
まとめ
クラブやボールを開発するメーカーは、1ヤードでも飛距離が出るように必死に新製品の開発をおこないます。飛べば売れるからです。
アマチュアゴルファーにとって嬉しいことでもありますが、10年くらい前のお気に入りのクラブを使っていると飛距離のハンデを負うことになってしまいます。
新製品に替えたくても、ウッド1本で5万から8万くらいの価格ですから、簡単に買い替えることもできません。
その辺が我々アマチュアにとっては痛しかゆしのことではあります。
それはさておき、このまま飛距離が伸び続けると例えばマスターズなどはどうなってしまうのか?そんな心配も確かに出てきます。
R&AやUSGAははたしてゴルフ界をどのような方向に持っていくのでしょうか。