驚異の19歳。笹生優花選手について
2020年のLPGAツアーは若い選手の台頭が目覚ましい年でした。2019年も黄金世代といわれる選手が活躍し、とりわけ渋野日向子選手の全英女子オープンの優勝はそのハイライトといえる出来事でした。そしてその黄金世代にとどまらず、その下のプラチナ世代といわれる選手たちが2020年に活躍をしています。プラチナ世代と呼ばれる選手たちは日本代表に選ばれていた選手がメインですので、アマチュア時代から将来は嘱望されてきたいわば「有名人」であった選手たちですが、そんな中彗星のごとく現れたのが笹生優花選手です。今回は、この19歳の選手のなにがすごいのかを少しご紹介していきたいと思います。
笹生優花選手の基礎知識
まずはご存知ない方のために、笹生優花選手について簡単にご紹介してみたいと思います。
笹生優花選手は2001年生まれの日本とフィリピンのハーフで、現在は日本国籍とフィリピン国籍の2重国籍の選手です。フィリピンで生まれ6歳で日本にいったん移住し、小学生の時に再びフィリピンに戻ります。
8歳からゴルフをはじめ、2015年のタイのジュニア大会の優勝を皮切りにフィリピンでのアマチュア大会で次々と優勝。2018年にはフィリピンオープンで優勝を果たします。
そんな笹生優花選手の名前を一躍有名にしたのが、2019年のオーガスタアマチュア女子オープンです。プラチナ世代の代表選手安田佑香選手とともに3位タイでフィニッシュし、実力を世界に知らしめました。
その後2019年のプロテストに合格、QTランキングの資格で2020年のツアーに参戦することになりました。しかしプロテストでは18位タイ、ツアーの参加資格を得たQTも28位タイという成績でしたので同年のプロテストで2位タイの西村優菜選手や4位タイの安田佑香選手、そしてセクシー・クイーンとして話題をさらっていたアン・シネ選手などの合格の陰に隠れて話題にはなりませんでした。
度肝を抜いた初優勝
そんな笹生優花選手の名前が全国区になったのはツアー2戦目のNEC軽井沢72ゴルフ5トーナメントでした。プロになって2試合目の笹生優花選手はこのトーナメントで初優勝を飾りますが、メディアは「圧巻」「衝撃」といった言葉とともにこの優勝を報道しました。
まさに「圧巻」で「衝撃」だったのは最終日の16番ホールでした。このパー5で笹生優花選手は280ヤード以上のティーショットを放って見せます。
グリーン手前にはクリークが待ち構えているため2打目をレイアップする選手も多く、狙う選手でもウッドをもってクリークを避けるようなショットをする中、笹生優花選手はなんと残り195ヤードを6番アイアンで狙います。なんとかグリーンに乗れば、というショットではなく完全にピン狙いのショットは見事にピンそばにつきイーグル。この16番以外でもふたつのロングホールで2オンをはたし63のコースレコードで優勝します。
まるで男子選手のようなスイング
続くニトリレディスゴルフトーナメントでも優勝、13戦目の大王製紙エリエールオープン終了時点で賞金ランキングのトップを走っています。
笹生優花選手の特徴といえばなんといっても飛距離で、女子ツアーでトップクラス。そのスイングは身体の柔らかさを生かすような女子選手特有のスイングではなく、深めのコックで始動から一気に振りぬく男子選手顔負けのスイングです。
笹生優花選手は現在ジャンボ尾崎に師事していますが、最初に彼女のスイングを見たジャンボは「この足腰はどうやって作ったんだ」と、その体幹の強さに驚いたという話も伝わっています。
ジュニアの頃から欠かさないトレーニングの積み重ねで作り上げた、強靭な身体で放つ豪快なショットは、今までの日本の女子選手とは一線を画すものといっても言いすぎでは無いような気がします。
まとめ
好きなプロはローリー・マキロイという笹生優花選手は、アメリカのツアーを目指しているということです。いつか渋野日向子選手に続くメジャー制覇をする選手になってくれるのではないか、そんな期待を抱かずにはいられない大型新人の彼女に、ぜひ皆さんも注目してみてください。